[第4回] マインドフルネスの方法 (1) – 連載 ”Mindfulness”

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近年、マインドフルネスとか瞑想という話題が、マスメディアなどで取り上げられるようになっています。

世界的企業であるGoogle、Yahoo、Appleなどでも、社員の福利厚生の一環としてマインドフルネスや瞑想を取り入れられています。そしてそれによって、生産性が上がったとか、社員の医療費が削減できたという報告があり、最近日本でも脚光を浴びはじめました。資本主義経済下で、世界的な経済競争により人々に余裕がなくなっていく中で、自分を取り戻す方法としてとらえられているようです。

医学的な観点からも研究がすすめられ、人の心や体のさまざまな不調に効果があることが確かめられつつあるようです。当総合診療科でも、患者さんにマインドフルネスを紹介し、実践していただくことで、効果が出たのではないかと考えられるケースが少しずつ出ています。

そこで、マインドフルネスについて勉強中の筆者が学んだ概要を、何回かに分けて、ご紹介したいと思います。

では、マインドフルネスとは、具体的にどうするのかを紹介させていただきます。マインドフルネスの方法について、こうでなくてはいけないということはなさそうです。マインドフルな状態になる練習であれば、いろいろな方法があるようです。

ここでは主に、ジョン・カバット・ジン著の「マインドフルネス・ストレス低減法」(春木 豊訳、北大路書房、2007/9/5) を要約して紹介します。(一部訳文そのままの引用になっているかもしれませんがご了承ください。より正確には成書をご参照ください。また、成書には実践にあたっての準備方法、心構え、注意点が細かく解説されているので、実践される場合には是非それらを参照するか、あるいは指導者の指導に従ってください。)

食べる瞑想

自分が普段いかに意識せずに行動しているか (自動操縦状態、上の空であるか) を初めての人に実感してもらう方法です。

  1. 干しブドウを三粒用意します。
  2. 干しブドウを、初めて見るようなつもりで観察します。
    干しブドウはどんな色、形、表面をしているか、香りはどうか、手触りはどうかを確かめます。
  3. 1粒ずつ口に入れます。
    口に入れると唾液が出ます。舌で触れ、ゆっくり噛みしめ、味わい、飲み込みます。そして干しブドウ1粒分、体重が増加したことに気づきます。

食べ物を食べるとき、ただ漫然と機械的にかみ砕いて、何も意識せずに飲み込んでいるだけではありませんか?

そのことに気づかせてくれます。また、食欲という “感情” も、自分がしていることに意識的になれば、それを自分でコントロールできることを実感できるかもしれません。

マインドフルネス呼吸法

私たちは、普段何も意識しなくても呼吸しています。これは自律神経の働きです。心臓や胃腸の動きも自律神経によって調節されていますが呼吸は特別です。意識すれば呼吸を早くしたり、深くしたり、止めることもできるからです。心臓や胃腸は意識して止めることはできません。また、呼吸するには特別な道具も必要ありません。だから、いつどこでも呼吸に注意を向けて、瞑想の目安にすることができます。

「呼吸に注意を向ける」というのは「呼吸について考える」こととは違います。ただあるがままに、呼吸していることに意識を向けるだけです。

呼吸の深さや速さを敢えてコントロールする必要はありませんが、腹式呼吸が精神を落ち着かせるのに有効なようです。腹式呼吸はお腹を膨らませて息を吸い、お腹をへこませて息を吐く方法です。

腹式呼吸の練習

* 一般に成人男性は腹式呼吸していることが多いですが、女性や子供は胸式呼吸が基本なので、少し練習する必要があるかもしれません。また、緊張状態にある人は浅く速い呼吸になって、胸式呼吸になりがちかもしれません。意識的に腹式呼吸することで、それだけで精神的な緊張を緩めることができるようです。はじめはうまくいかなくても、何度も練習することでできるようになります。

呼吸に注意を向ける練習は、普段の生活の何気ない時間の中でもできます。例えば、交差点で信号待ちの間だけでも呼吸に注意を向けてみます。すると、信号待ちの時間が全く長く感じられなくなったりします。

しっかり練習するには、毎日都合の良い時間に15分程度をそのために確保してください。

  1. 仰向けに寝るか、椅子に座るか、どちらか楽な姿勢をとります。座るときには背筋をまっすぐ伸ばし、肩を落として、肩の力を抜きます。
  2. 目は閉じても閉じなくてもかまいません。
  3. 息を吸い込んだときにお腹が膨らみ、吐いたときに引っ込むことを感じながら腹部に注意を集中します。
  4. 自分の心が呼吸から離れたことに気づいたら、そのたびに呼吸から注意をそらせたものは何かを確認してから静かに腹部に注意を戻し、息が出たり入ったりすることを感じ取ります。
  5. 心が呼吸から離れて他のことを考えはじめるたびに、呼吸に注意を引き戻すのが仕事です。

どんなに気乗りしなくても、とにかく一週間続けてみましょう。タイマーをセットしておくと、もう時間が経ったかなということを気にする必要がなくなり、良いかもしれません。

ついつい心が呼吸から離れてしまいますが、自分を責める必要はありません。心がさまよってしまうのが人というものなのですから、そういう自分をそのまま受け入れてみましよう。

久賀谷亮著「脳疲労が消える最高の休息法[CDブック] – [脳科学×瞑想] 聞くだけマインドフルネス入門」 (ダイヤモンド社、2017/5/17) に、マインドフルネス呼吸法を分かりやすく説明した絵がありましたので、引用させていただきます。

ポイントは、

  • 5分でも10分でもいいので、毎日続けることが大切
  • 同じ時間、同じ場所でやる (脳は「習慣」が大好き)

とのことです。

マインドフルネス呼吸法の図
マインドフルネスの方法 - 基本姿勢をとる、身体の感覚に意識を向ける
マインドフルネスの方法 - 呼吸に意識を向ける、雑念が浮かんだら

( 第5回「マインドフルネスの方法 (2)」に続く )

文責:嶋 芳成

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