漢方よもやま話:第1回「水(すい)の巡り~」

ホームセミナー資料・ノート漢方よもやま話:第1回「水(すい)の巡り~」

漢方では、“気”“血(けつ)”“水(すい)”という3つの要素が体の中を巡っており、これらの要素が、不足したり、過剰になったり、流れが悪くなったりすると、心身のいろいろな不調が生じるとされています。“気”は、生命活動を営むための根源的なエネルギーです。“血”は全身に栄養を供給し体を温めます。“水”は全身を潤し熱を冷ます働きを持ちます。

3つの要素のうち、今回は“水”の異常についてのお話です。“水”の巡りが悪くなった状態を“水滞(すいたい)”または“水毒(すいどく)”と言います。“水”がからだのどの部分で滞っているかによって様々な症状が現れます。

水滞の部位と現れる症状
頭痛、めまい、浮遊感、耳鳴り、鼻水
動悸、息切れ、咳
胃腸 胃もたれ、胃のむかむか、嘔吐、下痢
下腹部 頻尿、残尿感
手足 手足の冷え、むくみ、関節痛

漢方独特の診察法の一つに舌診(ぜっしん)というのがあります。心身のさまざまな異常は速やかに舌の色や形の異常として表れるため、漢方では舌診を重視します。“水滞(水毒)”の状態では、舌がぼてっとして大きくなり、舌がいつも歯にあたるようになるために舌の側面に歯の痕がつくようになります。

正常な舌と水滞(水毒)の舌の比較写真

“水滞(水毒)”に対しては、利水作用(水の巡りを改善する働き)を持つ漢方薬がとても有効です。表に示したような症状で困っていて、舌に歯の痕がはっきりついているようであれば、漢方を使ってみるとよいと思います。

文責:佐藤 寿一